VRによる精神障害の改善事例:統合失調症
そもそも統合失調症とは、思考、知覚、感情、言語、自己の感覚、および行動における他者との歪みによって特徴付けられる症状を持つ精神障害の一つ。
VRで統合失調症の患者にとって苦手な場面である自分の幻聴から自己否定をされるという場面を繰り返すことで、慣れるという研究。
結果、被験者19人のうち15人の症状が大きく改善し、幻聴が80〜90%抑えられた。
このことから、VRによる苦手な場面を繰り返すことで、苦手な場面を克服できる可能性があるのではないかと言える。
【具体的な実験の内容】
ブレトンさんの場合、幻聴と幻覚があり、自分が不安に思っていることを、悪魔が指摘し執拗に攻撃してきます。不安は自分が本当に感じていることであり、そのことを脳内で実際に責められている感覚となるため、幻覚や幻聴にひどく苦しめられ続けることになります。
エンジニアは「拷問者」のデザインをしました。ブレトンさんは拷問者のセリフをリスト化し、外見もあわせてVRで拷問者を再現します。研究所のドーマス医師は、そのリストを把握し、実際のセッションに活用することになります。
ブレトンさんがVRゴーグルをかけ、仮想的に悪魔と対面します。その横ではドーマス医師が待機し、いつでも助けに入れる環境を整えます。そして悪魔はブレトンさんにこう語りかけてきます。
「お前は良い父親ではない。誰もお前を愛していない」
最初、ブレトンさんはこれに対して対応することができませんでした。しかし、精神科医が近くにいていつでも中止できるように、また、彼が防御反応を構築できるようにアドバイスします。6回目のセッションでブレトンさんは悪魔に対して言い返すことができるようになりました。
「私はいい人間だ」
この悪罵を映し出す治療はうまく機能しました。ブレトンさんはこのように語ります。
「悪魔はとても侵略的だった。私が出かけるたびに悪魔はついてきて、どんどん孤立することになっていた。しかしこの実験によって、私は悪魔と戦えるようになった。幻聴は80〜90%減少した。」
https://vrinside.jp/news/schizophrenia-patients-fight-against-inner-devil/